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俺は長男として誕生した
その二年後に妹が誕生し、その三年後にまた妹が生まれた
両親も妹たちも相変わらず元気に暮らしている
だからこそ彼女の話を聞いてもピンとはこなかった
俺にとって家族とは当たり前の存在なのだ
いなくなることなんか考えられなかった
彼女の話を聞くまでは…
「妹が一人います。朝ニュース見たりします?」
いきなり話題が変わったので、俺は頭をフル回転させた
「まぁ。たまには…」
俺はたまにニュースを見るときがある
ニュースというのは話のネタになるからだ
話題がないときには本当に役に立つ
「私に似ている人いませんか?」
「えっ?!」
俺は目を丸くした
そう言えば彼女を見た瞬間誰かに似ていると思ったことを思い出した
どの番組だったかな…
「妹なんです。昔からよくそっくりと言われてました」
彼女は俺の驚いた表情を見て、くすっと笑った
確かに名字が一緒だ
俺はお手上げのポーズをした
「驚いたよ。妹だったんだね…確かにそっくりだ。特に目元とか」
これからは朝、ニュースを見てから仕事に行こうかなと思った
うっすら残っている彼女の妹の顔と彼女を見比べた
「私の家族は妹しかいません。昔は私がいないとだめな子だったんですけどね。今じゃあすっかり…」
「妹も苦労したんだろうね。それにしてもテレビ局に入社なんてたいしたもんだ」
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