きっかけ

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テレビ局に入社するのはかなり困難なはずだ 俺の知り合いに二次試験まで行った子がいたが、結局縁がなく諦めるしかなかった その子はスタイルも顔も良く、モデルのお仕事もしていた なのに結果は不合格 世間の見る目は厳しいと感じた瞬間だった 彼女は期待されていただけにきっと周りも落胆しただろう その話を聞いて俺はちっともその子を可哀相だとは思わなかった むしろ二次試験まで行けたことに感心したからだ そうそう進めるものじゃない その子はこう周りに漏らしたそうだ 「正直言うと受かるんじゃないかなって思ってた。それなりに努力したし。けれどそんなに甘くなかった。見ていた世界が狭すぎた」 そんなに甘くない世界に入ることができた彼女の妹の努力は半端なものじゃないと予想できた 「自慢の妹です」 彼女は誇らしげに微笑んだ 妹のことを話す彼女は生き生きしていた 自慢の妹という彼女の気持ちはよくわかった 俺の妹だったとしても鼻高々になるだろう 指を組み直し、うんうんと頷いた 「これからは注意してテレビを見ることにしよう。ところで両親はなぜいらっしゃらないのかな?」 話を両親に移すなり、彼女は狼狽した 触れたらいけなかった話題なのかもしれない
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