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俺にできることは彼女の孤独を少しでも埋めることだと勝手に決意していた
彼女は誰かに助けを求めている
助けてほしいと呻いている
そのサインを俺は感じ取った
俺が彼女を助けてやる――
もちろんこの気持ちは上司としてだ
この気持ちは恋なんかじゃない
俺は恋はしない
いや恋はできないのだ
恋する資格はとうの昔に奪われていた
「ありがとうございます」
彼女は笑った
今のこの話を聞いたら世界中の男が彼女を守ってやりたいと思うだろう
抱きしめたいと思うだろう
しかし俺はもう男じゃないから…
「私この話を誰かに自分からするのは初めてだったんです。本当はずっと誰かに聞いて欲しかった…」
「わかるよ」
俺は頷いた
彼女の言いたいことが理解できた
「相談…の答えに相応しい答えを言ってあげられなくてすまない。でもこんな俺でいいならいつでも話を聞くから。遠慮なく言ってくれ。頼ってくれ。君が寂しくならないよう俺は頑張るから。決して誰にも話さないと誓うよ」
俺は左頬をポリポリとかいた
後から思い出したら赤面しそうなくらい恥ずかしい台詞を堂々と言った
彼女を見つめながら今日の俺はどこか変だと思った
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