境界線

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俺は毎週金曜日に彼女と二人で会い、食事をするようになっていった 以前まではとても考えられないことだった この世には絶対なんて言葉がないことを改めて思い知った 俺は彼女と食事するようになって、会社に行くことがすごく楽しくなった 今までの自分では考えられないことだ 嫌な会議も憂鬱な残業も苦にならなくなった 課長から「何かいいことでもあった?」と聞かれたこともあった いいえ、と答えるとおかしいなぁと言いながら首を傾げていた 気持ちがそのまま表情に出ているのかもしれない 自分ではよくわからないが… 俺は彼女に恋をしているのか?と思うこともあった それについて考えてみることもしばしばあった しかし行き着く答えは恋とは違うというものだった なぜなら彼女と一線を越えたいとは思わなかった 抱きたいやキスしたいという気持ちは探しても頭の引き出しにはなかった 俺は彼女を求めているわけではない 俺は誰かとただ楽しく食事をする時間が欲しかったようだ あまりにも仕事ばっかりな毎日なので、俺はいつもと違った空気を吸いたかった そう思っていたときに彼女が現れた 彼女の話を聞くつもりが、いつしか自分の寂しさを埋める目的に変わっていた 今日は金曜日―彼女と会う日― 「やぁ。待った?」 俺はふぅと鼻から息を吐き出し、彼女の前に腰かけた 今日はわりと金曜日なのに仕事が早く終わった
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