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どこまで歩いても出口はない
暗い…
何も見えない…
俺はなぜ真っ暗闇を歩いているのだろう
どこを探しても光りは見つからない
目印は何もない
体が鉛のように重い
それになんだか寒気がする
俺はこれからどうなるのだろう
死ぬのかな
誰か助けにきてくれないか…
結構我慢強い方なのに暗闇だと急に怖くなる
俺はひざまずく
もう歩くこともできない
立ち上がることもできない
気力をなくし、目を閉じた瞬間、いきなり眩しいほどの光が差し込んできた
思わず目をかすめ、手をかざす
誰かいる――
光の下に気配を感じた
どんどん近づいてくる
俺の近くまで来ると立ち止まり、にっこりと微笑んだ
懐かしい香りが鼻にふいに届いてきて、安心したのか急に涙腺が緩んだ
迎えにきてくれたんだね――
助けにきてくれたんだね――
俺がそう呟くと、納得したかのようにこくんと頷き、目を細めてみせた
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