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前髪の右半分と、モミアゲを全部です。
でもお父さんは怒ることもなく、むしろ大笑いしながら言いました。
しょうがない、本当の床屋さん行くしかないな。"かなへ"も行くか?
私はゴメンネと一言付けて頷きました。
朝から2人ともパジャマのままでしたので、適当な服を選択し外出の支度をしました。
あの時の服装がどんなんだったかまでは流石に覚えていませんが、
白い帽子をかぶって行きました、それだけは確実です。
既に夕方の6時をまわっていて、ちょうど空の青が赤に変化する時間でした。
田んぼと田んぼの間の狭い道を抜け、十字路を越えた所に床屋さんはありました。
お父さんが子供の頃からあるらしく、2人の老夫婦が営む小さな床屋さんでした。
ちなみに今はもうつぶれてしまったみたいです。
と、いうより老夫婦2人が亡くなったみたいです。
今もまだ当時のままらしいので床屋自体はまだ放置されたままらしいのですが。
そこの2人は腰が曲がっていて、客の椅子を後ろに倒さないと手が届かないらしく、散髪から洗髪までずっと椅子は倒されたままでした。
椅子ってのは、ほら、
あの腰の所が自動で動いて寝かしたり起こしたり出来る・・・マッサージチェアーみたいなアレです。
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