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涙を流す…なんてもんじゃありません。
それはもう気が狂ったかのようで、棺桶を抱きしめ何かいろいろなことを泣き叫んでいました。
なんであなたが…とか。
これから私はどうすれば良いの…とか。
そんなことを何度も何度も。
そんな母の横を女の人と、その人の娘らしき女の子の2人が通り過ぎました。
女の人はとても綺麗な方で、背が高く、スタイルも抜群でした。
喪服を着ているはずなのに、それがオシャレに見えてしまうくらい完璧で、思わず見とれてしまいました。
女の子の方は私より2,3歳年上に見えました。
その子は首に白猫のかわいいポシェットを掛けていて、それを両手で大事そうに握りしめていました。
彼女等が誰なのか当時の私は知りませんでしたので、きっとお父さんの会社の人なのだろう。
そしてあの子はその人の娘さんなのだろうと、自分なりに勝手に理解して済ませてしまいました。
葬式中に彼女等の姿を見たのはその時だけでしたので、きっとすぐに帰ってしまったのだと思います。
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