ココロ、転がり落ちる

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最愛の犬の死が受け入れられず、どん底まで落ち込んだ私は、五年勤めた薬局を辞めました。 先輩のたった一言、 「頑張らなきゃダメよ!!」 気心のよく知れた人のこの一言で、私の心はもろくも砕け散ったのでした。 本当にどん底にいる人には最大の禁句であると、身をもって知りました。 もちろん、そこに悪意など欠片もありません。 わかってはいるのですが、どうにもならないのです。 頑張らなきゃって、死ぬほど思ってもできないのです。 落ち込んだ人を励ますのはほどほどにしておきましょう。 一年近く落ち込んでいた私を救ってくれたのは、 友達のこんな言葉でした。 「悲しいときは思い切り泣かなあかん。ずっとそのままじゃあかんと思うけど、今は気が済むまで思い切り泣き!そしたらきっと、いつかまた、歩きだせる日がくるよ。」 私は、遠い先に歩き出せている自分を思い描くことができました。 今は出来なくていいんだ。 そう思うことで、どんなに楽になれたことでしょう。 もしも今、何かを頑張らなきゃって思い、一生懸命頑張っても出来ない人がいたら、どうか焦らずに立ち止まることを勧めてあげてください。 そして、それでいいんだって言ってあげてください。 突拍子もないことですが、登校拒否でも、です。 ありのままの自分を受け入れるのは、自分でも勇気がいるものです。 1人ではなかなかできません。誰かの助けが必要なのです。 目の前にある山が大きければ大きいほど、乗り越えるのは困難です。 その先にある美しい景色を思い描くことが、どれだけ勇気を与えてくれることか。 もしかしたらそこにたどり着くための近道だって見つかるかもしれません。 何かにぶち当たったら、まず立ち止まる。 そこからゆっくりと考えればいいのです。 大丈夫。大丈夫です。 今は無理でも、 いつかきっと歩き出せる。 そう信じるだけでいいのです。 誰かがそう信じてくれるだけでいいのです。 気がつくともう、 一歩を踏み出したあなたがいるはずです。
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