猫の行列にご用心

2/2
前へ
/51ページ
次へ
さて、仕事を辞めて散々落ち込んだ私でしたが、とうとう前向きに働く決心をしました。 夕食の食材を宅配する仕事です。 面接の時に聞いた話の、慣れるまでは近場で少数から…とはまるで正反対。 エリアで一番遠く、一番多いところを任され、時間通りに帰って来なければなりませんでした。 階段を駆け上がり、駆け降りる…車をぶっ飛ばす… その繰り返し。 土地勘もまるでなく、方向オンチの私には過酷すぎる仕事でした。 ある日、階段を駆け降りたとき、ピキッという音と共に腰に激痛が走りました。 しばらく車の中でじっとしていると治まったので、再び車をぶっ飛ばして行きました。 すると、突然目の前を、信じられないことですが、猫の行列が横切ったのです!! 私は急ブレーキで止まりました。 そのとき、再び腰に激痛が走り、アクセルを踏むことすら出来なくてなってしまったのです。 急きょ、事務所に連絡して残りの配達を他の人に代わってもらい、痛みが治まるのを待って、私は恐る恐る運転しながら帰りました。 力の入り加減で激痛が走りました。 すぐに病院へ。 レントゲンの結果、腰椎が分離してずれている…とのこと。 つまり、 ピキッ→分離 急ブレーキ→ズルッ ということか…なんて感心している場合ではありません。 このまま放っておくと歩けなくなると脅され、 私の社会復帰の幕開けは、たったの1ヶ月で、あっさりとその幕を閉じたのでした。 その後リハビリを続けるものの、腰痛は治ることなく私を苦しめました。 立っていても座っていても寝ていても、同じ姿勢でいると、次に動かすことが辛くて…。 寝返りなんて何分かかることか…。 でも、ずっと同じ姿勢でいることが苦痛なので、やはり激痛に耐えながら寝返りするしかないのです。 あまりにも痛いので、ヘルニアじゃないかと言われ、MRIで診たところ、やはり腰椎分離すべり症だと言われました。 私の腰痛持ち人生の幕開けでした。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加