12歳 ♂

2/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
『おい』 偶然だった。 コンビニの帰り、夕暮れ、家まであと数メートル。 聞き慣れた声に自然と振り向くと思った通り、同じクラスの近所のヤツだった。 『それ、なに?』 振り向いた先のヤツはオレの右手のものを指差している。 「あー、弁当。今日親遅いから。」 同じクラスといってもそれは1ヶ月前の話で、3日後はどうなってるかわからない。 『ふーん。大したヤツだな。』 オレ達は3日後、中学生になる。 「だろ。ルビィの散歩?」 ヤツの右手から延びたリードの先を見るとルビィと目が合った。 ついでに「春の夜風はまだ冷たいなあ」とそいつへのテレパシーを試みた。 『…うちの犬は食せねぇぞ?』 飼い主の殺気に邪魔された。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!