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『おい』
偶然だった。
コンビニの帰り、夕暮れ、家まであと数メートル。
聞き慣れた声に自然と振り向くと思った通り、同じクラスの近所のヤツだった。
『それ、なに?』
振り向いた先のヤツはオレの右手のものを指差している。
「あー、弁当。今日親遅いから。」
同じクラスといってもそれは1ヶ月前の話で、3日後はどうなってるかわからない。
『ふーん。大したヤツだな。』
オレ達は3日後、中学生になる。
「だろ。ルビィの散歩?」
ヤツの右手から延びたリードの先を見るとルビィと目が合った。
ついでに「春の夜風はまだ冷たいなあ」とそいつへのテレパシーを試みた。
『…うちの犬は食せねぇぞ?』
飼い主の殺気に邪魔された。
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