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「冷さんお願いします」
ほら、きた。
「え?もう行っちゃうの?いるって言ったのに…」
『ごめんな。なんかあゆに張り合おうとしてシャンパン入ったみたい。
すぐ戻ってくるから。』
…ホストのすぐ戻ってくるなんて挨拶みたいなもん。
絶対すぐ戻る訳ないし。
二番手をきったのは美咲
まぁ可愛い風俗嬢で、猫被ってるがなんでも自分が一番じゃなきゃ駄目な俺の嫌いなタイプだ。
シャンパンコールが始まった。
このうるさい音はいつになっても苦手だ。
しかも美咲はマイクが痛い。
確かに太い客だがエースではないのに。
「冷様一生愛してまぁす」
「おー!!でわ、可愛い姫より愛の言葉と素敵なシャンパンを頂いた王子よりー3、2、1!」
『ありがとうでーす』
そんなやる気なさげな俺をさしおいて、美咲はヘルプに煽られるがままに結局2本シャンパンを追加した。
ガヤガヤわいわい
店内にレーザーが光り
美咲の甘ったるい声と
シャンパンコールをしてるホスト達の声
笑顔を振り撒くホスト達
目立ててご機嫌な美咲
その全てが俺の頭をやけに冷静にさせる。
何も楽しくない。
所詮これは嘘の世界なのに。
騒々しい周りの中で
何故か俺だけが一人…壁の向こうにいるような空しい感覚にいつも襲われる。
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