届かない距離

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「あー!やっと冷くん戻ってきたぁ!!あゆ寂しかったんだよぉ?」 上目遣いで俺に寄りかかってくるあゆ。 「わりぃ、待たせたな」 そう言って頭を撫でれば、女の機嫌なんてすぐになおる。 内心…甘ったるい声出してんじゃねーよ、ブスって思ってるのを隠してな。 俺はドカッと席に座った。 雪は… は? 静夜を場内指名したのか。 静夜は指名客の席をほったらかしで雪の所に長い時間いる。 働けよ。 …まぁ俺が言える事じゃねーけどさ。 ―緩く巻いた長い綺麗な茶色の髪。 美人なのに笑うと少し幼くなるんだな…。 俺はあゆの話を聞いてるふりをして、雪ばかり見ていた。 雪はなんだか儚くて 静夜に笑いかける度に胸が締め付けられる様に苦しかった。 目が離せなかった。 こんなに近くにいるのにその笑顔が俺に向けられる事はない。
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