小話.

2/4
前へ
/16ページ
次へ
キンコン、とお空にチャイムが響いたらお片づけの時間。 西へと傾く陽の光を眺めながら、タマリは手のひらで転がしていた粘土をケースの中に押し込んだ。 5時のチャイムが鳴ったら、お迎えの合図。 そのことをちゃんと理解していたから、いつお迎えが来てもすぐに帰れるよう、後片付けは誰よりも早くにこなす。 そうして自由あそび用のテーブルをキレイに整頓すると同時に、 「たまりっ!おむかえー!!」 なんて、威勢の良い幼馴染の声が飛び込んできた。 続いて嬉しそうにテラスへと飛び出す子どもたちのはしゃぐ声。 慌ててタマリも飛び出して見れば、そこには赤色の、大事な友だちが少し戸惑ったような雰囲気で立っていた。 「っおかえりぃ、はれちゃん!」 ――そう、お友だち。タマリの大切なお友だち。 けれど、保育園のお友だちとはちょっと違う。 『お…お迎えに参りました。さあ、帰りましょうタマリちゃん』 彼女は“ロボット” タマリが生まれた時から一緒にいる、大好きお友だちなのだ。 .
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加