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五日目
「教授、いったいどういうことでしょうか?」
大学の研究室で俺は石橋教授の机の前に立っている。
「いったい何がだね」
飛び出ている腹をさすりながら石橋教授はそしらぬ顔で答える。
「とぼけないでください。先日、自分が提出したレポートの件です。なぜ教授が発見したことになっているのですか?」
ああそのことかと驚いた顔を見せる。
「誰が発見したなんてどうでもいいだろう。地球の危機なんだ。君は自分の利益しか考えていないのかね。」
「誰でもいいなら、そのまま自分の名前で発表してくれてもよかったのではないですか?」
「それは君・・。世間の注目度が違うからだよ。考えてもみたまえ。単なる学生が発見したのと、大学の教授が発見したのでは明らかに周りからの注目が異なるだろう。君が発見したことにしていたらここまで大きく取り上げられていなかっただろう。それはすなわち環境問題の対策が遅れることにもつながる。」
「そんな・・・」
ただただ俺はそこで立ち尽くすしかなかった。
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