帰り道

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いつも一人で通る、帰り道。 学校の授業も部活も終えて、日が沈んでしまってから帰る道。 昼間は聞こえない自転車のチェーンの音が、夜の帰り道には、とてもよく響く。 街灯に戯れる小さな虫が、通り過ぎる私を眺めている。 虫は嫌い。でも、光は好き。 自宅へ近くなればなるほど、街の光はなくなって行く。民家の街灯が、ほんのり暗闇に浮いている。 時々、寂しくなって用もなく携帯電話を開いてみる。 身近に光が欲しくて。 そして今日も、何もない道の真ん中で止まって携帯電話を開く。 片足地面につけて、片足は自転車のペダルに乗せたまま。自転車の籠に入っている荷物がとても多いと、たまにハンドルを取られて転倒してしまうこともある。 でも、そこにいるのは私一人。 笑ってくれる人は、誰もいない。 着信も未読メールもない携帯電話をぼうっと眺める。暗闇に広がる光。 しかし。 突然、携帯電話がメロディを奏でた。 ―母からだ。 あまりに突然の着信に驚いて、少ししてから電話に出る。 「もしもし、お母さん?」 暗闇によく通る私の声。電話の向こうから聞こえる母の声も、この闇に響いている。 『玲? お母さん、今日も残業で帰りが遅くなるわ』
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