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「信じる者は、信じる人間は、お嫌いですか?」
再び彼女が言う。デロスは答える。
「俺は神が嫌いなだけで、人間が嫌いなわけではない」
何と弁解がましく臆病な返答だろう。デロスは自分の発言にうんざりした。
「そんな中途半端な配慮は卑しいです。嫌いか嫌いでないか、信じるか信じないか、はっきりしてください」
彼女は淡々と述べる。痛いところを的確に突かれたことと、やや高圧的な彼女の物言いに、デロスは、自分の心臓の鼓動が強くなるのを感じた。
「神も信じる人間も嫌いだし、もちろん信じていない」
デロスはきっぱりと言い切った。
「神はいらっしゃいます」
「神はいない」
「そんな力を持っているのに?」
デロスはぎくりとした。彼女はベッドの上で、膝を抱えるようにして座り直しながら、言葉を続ける。
「神から賜ったその力がなければ、私を見つけ出すことはできなかったでしょう? それなのに何故神を信じないのです? しかもあなたは相当な」
「いいか」
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