神はいない

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  それは全くの不意打ちだった。デロスの視線は一瞬でそこを離れたが、また一瞬でそこへもどってきた。 重くのしかかるような彼女の瞳の下、抱えられた細い足の間に、無防備な少女のそれが、デロスの目に晒されていたのである。 彼女もそれに気づいたのか、素早く足を閉じ、白い顔をりんごのように赤く染め、きっとデロスを睨みつけた。 「不潔! 死ね! 変態!」 彼女が実際にそう言ったわけではなかった。彼女はただ、体をわなわなと震わせ、憎悪の眼差しをデロスに向けているだけである。 だがデロスには、彼女の心が、思いが、言葉が、はっきりと「聴こえた」のである。
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