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空から落ちてきたその石には、確かに、超常的、奇跡的な力を思わせるものがあったし、実際にその小さな石は、人間たちに明らかな変化を及ぼした。
この変化は、通常の進化や発達とはまるで違う、異質な現象だった。
突然変異というよりは、新種のウイルス、新興の病に近い。ほとんど何の前触れもなく、望んでもいない変化が生じる。ただ、それらのものと決定的に違う点は、変異が人間の生命に対して、何の悪影響も与えなかったことである。
予期せぬ変化、異常な進化。
歩むべき生命の一本道から外れ、突如別の道に踏み込んだ人々は、それに対しての適応を否応なしに求められる。
理解を越えたこの現象を、「神の奇跡」として崇めるものもいれば、「悪魔の力」として忌み嫌うものもいた。2つ以上の思想があれば、大方それらは対立するものである。
デロスに助けられた少女は、前者の側だった。
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