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  -2-    町全体の空気が変わった。 そうデロスには感じられた。 すれ違う人々の浮き足立った様子、よくわからない感覚に動揺する様が見てとれた。彼女の救いを求める激しい思いは、爆風のように辺り一帯に吹き飛び、今や町中に広がっているのだった。 デロスはその手に、青みがかったヌイ革のローブと、飾りっ気のない小さな布の靴を抱え、狭い路地を少女のもとへ走る。少女の気配は、町の外へ向かって移動していた。 「お急ぎなんでしょう?」 「何が必要なんだい?」 デロスが口を開く前に、老夫婦はそう言った。いささか驚いたデロスだったが、急いでいることは事実だった。 「暖かい服……それと靴も」 「はいはい、確か、うちの末の娘が昔着ていたものがあった気がするわねぇ」 そう言って老婦人は、山のように積まれた布の中に手を差し込む。 「しかし……」 「あら、女の子じゃありませんの?」 「確かにそうなんですが」 「でしょう? そんな気がしたんですよ」 老婦人は、皺の多い顔に、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
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