神はいない

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  デロスには、彼女は自分よりも5歳以上若く見えた。 15、16歳くらいであろうか。静かな呼吸を繰り返す顔は、幼い少女そのもので、赤みを帯びた長い髪が、頭の後ろで三つ編みにされている。今は毛布にくるまり、すやすやと眠るこの少女が、昨夜あれほどの力を放っていたとは、にわかには信じがたかった。 デロスはベッドの側にある丸椅子に腰を下ろした。横たわる少女を見つめながら、彼女が眠っているうちにさっさとここを離れてしまおうか、と考えた。 彼女は「強大」すぎる。今は眠っているからよいものの、眠りから覚め、もしヒステリックでも起こされたら、と思うと気が気でなかった。 彼女が追われているのなら―― それほど力のないものでも、彼女に感づくだろうし、力のある者ならなおさらである。  少女がもそもそと寝返りをうった。胸元にきらりと光る物を見つけて、デロスは目を伏せた。 「お嫌いですか?」 突然の声に驚き、デロスが目を上げると、少女の大きな栗色の瞳がこちらを見ていた。デロスは口を開いたが、何を言ってよいのかわからず、口を半開きにして彼女を見つめた。
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