席替え

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どうしてだろう… 何故ここにひとりでいるのだろうか… 彼女のことを見ていると、考えるとわからない… 「望月くんなんかあったの?」 「な、なんにもないですよ!」 「フフっ! なんで敬語なの?」 笑いながらそう言う彼女はとても魅力的だった。 引き寄せられる不思議な力みたいなものを感じる… 「いや、なんでもないよ。それより、姫川さんはどうしてこんなところに?」 「ここならひとりになれるかと思ったからね。それにここから見る景色がキレイだったから…」 確かに、静かで見晴らしがいいこの場所なら落ち着いた時間が過ごせるだろう。 「おれがここにいたら邪魔そうだから先に行ってるよ」 「あっ…」 ひとりになりたいという姫川さんの思いを邪魔するわけにはいかない。 誰でも自分の時間や場所、そういったものを感じたい時には邪魔してほしくないと思う。 「また後で、姫川さん。じゃ」 そういって立ち上がり屋上を後にしようとした時…… 「待って! …望月くん」
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