席替え

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――― ―― ― 「うん! 美味しいこの卵焼き!」 「ほんとに!? よかった望月くんの好みに合って」 さすがに半分ずつは悪いと思ったので、俺が好きな卵焼きをいただくことにした。 甘さも焼き加減もちょうどよく美味しかった。 「俺甘い卵焼き好きなんだよ! 全部手づくりなの?」 「うん! 今日から毎日私が作るつもりだよ。望月くんは作らないの?」 「俺は料理苦手だから妹の若葉が作ってくれるんだよ……」 母が亡くなってからは、若葉が俺の身の回りの世話してくれている… 本当に若葉には感謝している… 「どうかしたの?」 「いや、なんでもないよ。それよりご馳走さまです!」 俺が落ち込んだら気を遣わせちまう。 そんなのは嫌だ。 「お粗末さまです。それより望月くんと間接キスしちゃった!」 確かに箸は姫川さんのしかなかったから、そうなるんだけど… 「恥ずかしいから、そんな元気に楽しそうに言わないで下さいよ!」 「嫌だったのかな~?」 「嫌じゃない! 恥ずかしいだけ!」 人をからかうように笑っているけど、こんなに性格が明るいんだと知ることができた。
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