初めてのこと

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「あったかーい!」 俺はコーヒーを、一葉さんはミルクティーをそれぞれ温かいのを買った。 かずはさんは、それを両手で包みながら頬に当てていた。 「んっ? どうかしたの?」 「えっ!? いや、なんでもないよ」 いつの間にか、そんな仕草をする彼女の横顔に見とれていたことに気づいた。 恥ずかしさをごまかすように歩き出したが、鼓動が速くなっているのを感じていた…… 「あのさ、さっきの事なんだけど、廊下でどんくらい待ってたの?」 「突然な質問だね。だいたい1時間ぐらいかな」 廊下はけっこう寒いのに、あんなところで2時間も…… 「入ってくればよかったのに。 廊下寒かったでしょ?」 「ううん全然寒くないよ! それに邪魔しちゃ悪いかなと思って…」 「嘘つく必要なんてないよ! さっき一葉さんの手に触れた時すごい冷たかったし……」 「!!」 俺は思わず声を張り上げてしまったが、一葉さん自身はほんとに寒く感じていなかったかもしれない。 廊下にいることを知らなかった…… それでも一葉さんを何時間も待たせたという事実が… 俺はつらい……
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