信用と信頼と疑いと…。

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幼稚園の卒園式から2週間経ち…。 小学校の入学式が差し迫っていた。 アインは楽しそうに、2人の自室で真新しいランドセルを背負ったり、下ろしたり。 ランドセルを無駄に開けたり、閉めたりを繰り返している。 ハタから見てるとかなり怖い…。   「くふっ…。うふふふ…。 こんなに大きく口が開くなんて…。 いったい何を入れて欲しくて、こんなに開くのでしょうか…?。」   「……教科書だろ…常識的に。 アイン、その辺で止めとけ…。 見た目も言動もかなりギリギリだぞ…。 それに、ランドセルが痛むだろ?。」   「おっとそうですね。では、この辺で止めて、次は筆箱の開け閉めでも楽しむとしましょう。 ふっふっふっ。」   そう言って、ニヤリといやらしく笑うとランドセルを下ろし。 筆箱に手をかけて、開け閉めを繰り返し始めた。 多機能筆箱で、パカッパカッっと開ける部分や、何を入れて良いのか分からない収納が、無駄にたくさんある筆箱だ。 こちらも楽しそうに繰り返す。 それを勇人が見てると、思わず質問したくなってきた。    「アインお前、人生楽しそうだな?。」   「実際楽しいですよ勇人様。 どれもコレも体験した事の無いものばかりですからね。 勇人様は楽しくないんですか?。」   「俺は2度目だからな…。 正直、ランドセルに目新しさを感じ無いんだよ…。正直、お前のように感動が湧いて来ない。」   「なるほど…。 新しい事を経験する事は、面白い事でもあるんですね…。 今の私のように。」   アインはそう言うと今度は、筆箱に鉛筆やら消しゴムを、入れたり出したり繰り返し始めた。   「同時に怖いと思う事でもある。 自らが経験した事の無い事を、経験していくんだからな。 俺は前の小学校の入学の時は、不安感でいっぱいだったよ…。」   そう勇人は言うと懐かしいのか、ほんの少し悲しい笑顔になっていた。何かを思い出しているのだろう。   「モチベーションや考え方、捉え方の違いから来る、感情の感じ方の違いですね…。 俗に言えば人それぞれ…。 更に言えば、知識で知っているのと、 体験で経験するのでは、随分と違いますからね。 勇人様。 前人生経験者のアナタの意見として、小学校で、絶対に気をつけなければならない事は、何かございますか?。」   筆箱をいじる手を止めて、勇人に顔を向けると真面目な顔で聞いて来た。 それに呼応して勇人もひとしきり考えて、真顔で答えた。
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