にゅう学式、こう書くとなんか印象が違う…。

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小学校入学式当日。 桜も7分咲き、雲も少ない晴天となった。 心地よい日差しは、皆を温めていた。 勇人とアインの二人は、身の丈に不釣り合いなランドセルを、ゆさゆさと揺らしながら、幼稚園の入園式の時と同様に、母親の両の手を塞いでいたが…。 今回はその後ろを、勇人とアインの父親も一緒に歩いていた。 小学校の入学式だけはどうしても、その目で見たかったらしい。  勇人とアイン、それに件のソナタは、同じ小学校へと入学する事になっていた。 学区も同じだからだろうが、神様の計らいでもあるのだろうか?。   明るい雰囲気で、入学式も滞りなく終わり。 アインには初めての、勇人には久しぶりの教室へと入る。 皆それぞれ思い思いに、話しをする者もいた。教室の後ろには、まだ保護者達が見学している。 アインから見たら、幼稚園からの見知った顔も多く、印象として幼稚園の延長線上の場所にも思えた。 ソナタの姿もクラスの中にあるのが、勇人とアインには、何よりもありがたかった。 ソナタが、二人にに話しかけてきた。 少しずつ積極性が出て来たようだ。 少し前のソナタからは、考えられない変化だった。   「あいちゃん、ゆうちゃん、良かった~。一緒のクラスで嬉しいよ。」   「うん!。僕もソっくんと一緒で嬉しいよ。ゆうくんもでしょ?」   「うん!僕も嬉しい。」   勇人はそう答えたが…、 それは友達だから嬉しいのか?。 神様の選んだ人物だから嬉しいのか?。 そう心の中で自問してしまった。 ソナタはそんな勇人の、自責に近い疑念に気付く事もなく話しを続ける。   「コレからもよろしくね。あいちゃん、ゆうちゃん。」   「うん!!よろしく!!ソっくん」   「よ、よろしく…。」   勇人の方は自責から来る自問のせいで、一瞬の迷いから少し声がうわずった。   「もう、ゆうくんたらソっくんだって落ち着いてるのに…。」   「ぼくだって緊張してるよ。 二人がいるから、なんとか大丈夫なんだ。 ゆうちゃん緊張してるの?」   「イヤ、そんな事無いよ…。」   二人には勇人が緊張しているように見えたらしい。 勇人は久しぶりの学校に緊張感はあったが、我慢出来ない程の緊張では無かった。 アインとソナタは楽しそうに話しをしている。 勇人はそんな二人を見ながら、またも自責から自問した…。   『俺は…。 俺の存在は…。 ソナタにとって友と言えるのか…?。』
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