青い鳥

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白濁とした意識の中、網膜にこびりついた現実を見る。 意識は眠りの底に沈んでいるはずなのに、自分が起きているかの様な錯覚を覚えた。 瞬間、いやそう感じただけかもしれないが目覚まし時計の騒音が睡眠の壁を切り裂き、朝を迎える事を強要される。 頭の痛さを感じながらも、目覚まし時計を手探りで探し、スイッチを切る。 カーテンから漏れる日射しがとても愛しく思えた。 頭を掻きながら立ち上がり、とりあえずパソコンを立ち上げる。 何処となく朝の爽やかさを感じながら、辺りを見回す。 一人暮らしのその狭い部屋は大学生の一人暮らしにしてはあまりに簡素にまとめられている、のだろう。 頭を掻きながら冷蔵庫に近付き、何か飲み物を探す。 昨日買った紙パックの紅茶を手に取ると、そのまま再びベッドに倒れ込んだ。 真夏の朝の日射しが、目覚め切れない自分の身体を照らす。 覚醒仕切らない自分の身体には程良い暖かさに感じる。 パソコンの起動音が部屋に鳴り響く。 「今日は何をしよう」 他に誰もいないその部屋で一人そう呟く。
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