輪廻

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-蝋燭- 薄暗い部屋に両手を合わせ いつまでも いつまでも じっと眺めてるだけで良い 消えそうになれば手を翳し この脆い左手に傷を負わす 痛みを感じるというならば 私はまだ生きているはずだ 肉を焦がすイヤな臭いがして 心を焦がす嫌いな言葉を発す 私を見ろ これは貴様の心そのもの 酷く醜く そして愚かしくも美しい 貴様だけが認める恋情だ 爛れた腕は元に戻らないが 穢れた心はどこまでも白く 例えるならば目の前に消えた 表情豊かに美しく燃え続けた 蝋燭の片割れの様な気がする 全て燃やし尽くしてしまえば 私は終わってしまうのだろう 明日の朝に二度の明かりを灯す その為には君を殺すも厭わない 隙間風に揺らぐ炎 その命絶える前に 私の息で吹き消す 先刻まで障子に見えていた月も 既に臆えては雲に隠れてしまい そこには影すら見えなくなった そう 私の身体は蝋燭なのだ 尽いてしまえばもう二度と 自身を語る事はないだろう
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