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-決別の冬-
今年も初雪の季節がやって来た
肩に降り積もる優しさの欠片
暖かく抱き締めてくれるようで
僕の心を縛り続けていてくれる
忘れろと言われ続ける日々
けれども忘れる事はない
忘れようなど思いはしない
冬は好きだから
また1つ年が過ぎれば
僕の心に雪を積もらせる
僕の心にその姿を映し出すから
いつかの誕生日プレゼント
貰ったのは紫苑の栞
美しい色を宿した宝物
時の歯車が街並みを変え
移る季節を胸に刻めども
この手に握るそのの姿は
出逢った頃のままだった
「それでも悪くない」
呟く吐息は深い霧となり
全ての想いを白に染める
痛み苦しみ悲しみを
全ての絶望を誤魔化してくれる
冬の幻想に背を向けて
そっと旅立つ故郷の夜
もう大丈夫
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