一・スカイブルー

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一・スカイブルー

火葬場の煙突から白い煙が上っていく。 あれが、お父さんとお母さん。 私は泣いた。馬鹿みたいに声を上げて泣いた。 ニコちゃんは何も言わずにただ白煙を見上げていた。 「ニコちゃんは死なないでね」 しゃくりあげながら私は言った。 「…可能な限りはね」 「やだぁっ絶対って言ってっ約束して」 ニコちゃんは一層泣き出した私を見てうろたえた。 「わ、分かったよ。約束する、絶対」 ニコちゃんは手をつないでくれた。マイクロバスに乗り込んでからも。 家に着くまで、ずっと。 今でも思い出すのは、鮮やかな空のスカイブルー。 雲のような白煙。 うろたえたニコちゃんの困ったような顔。 私達はずっと一緒。 この手が届く距離が私達の居場所。 そう願ってた。
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