五・チョコレート

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五・チョコレート

バレンタインはいつも、リクがくれる。 だから、貰えなくても別にいい。 「ニコちゃん大好き」 毎回、そう書かれたカードが添えられている。 何となく捨てられなくて、全部とってある。 一番最初にもらったやつは「大好き」が「犬好き」だった。 毎年もらうのが当たり前で「大好き」も当たり前。 だから、特別な意味なんてないと思ってた。 「特別」じゃなくて「普通」。 それは「平穏な毎日」が続く幸せに似てる気がした。 リクと一緒にいる毎日。 俺が心から手放したくないと思う事だった。 今年もリクはバレンタインにチョコをくれた。 甘くて、少し苦いハートのチョコレートだった。
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