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「…何が大好きですか、貴方も僕を棄てたのに代わりはない」
素直に手を伸ばしたかった等今更言える筈もない。離れていく兄をただ見ているのみ、伸ばされた腕は時遅く、何も触れず虚しく空を切る
「兄さん…」
"兄"と"弟"
世間では認められるはずもない恋
子供の頃は純粋に愛していた
己が居ないと何も解らない兄が可愛くて守ってあげようとさえ思っていた
再会してから、"家に棄てられた己"が"自ら家を棄てた兄"を殺したい程恨んでいる筈が殺したい程愛しくて――
兄の気持ちを知りたくて
己の事を兄弟としか思っていないと知っていながら、あの時はまだ希望をもっていたのかもしれない
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