鏡の中の侵略者

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 エイリアンは鏡へ入り、鏡から鏡へと移動する事ができる。  これが発表されたのは俺が朝食の食パンとコーヒーを口にしていた時。  テレビを見ていた俺は戦慄した。  ことの発端は一週間前。円盤型の宇宙船が地球に着陸したところから始まる。  歓迎のために集まっていた民衆を、中から出てきた一匹のエイリアンが皆殺しにしたのだ。  ほどなくしてそのエイリアンは捕獲された。  しかし人類最高の頭脳を持ち、人類最高に馬鹿な『科学者』達はその研究対象を殺すことを拒んだ。  そして今日、エイリアンは研究所の鏡を利用して逃げ出したのだという。  すでに犠牲者が世界中で次々出ているにも関わらず、「皆さんなるべく鏡には近づかないようにして下さい」としかテレビは言わない。  役立たずめ。こうしてはいられない。これはヤバすぎる。  俺はすぐに席を立ち、洗面所と風呂場の鏡を粉々にした。 「ひとまずこれでいいか」  ホッとして一人呟いた俺は食卓に戻る。  嫌な予感。  何かを忘れている。  気づいた時には遅かった。  コーヒーに映った俺の顔がケタケタと笑う。  中からグロテスクな手。
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