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朝食を食べ終え、制服に着替える。
寝癖を直して時計をチェック。
始業式まであと10分。
学校には3分あれば着く。
「行ってきます」
とイヤホンを耳に付けながら家を出る。
大音量で流れ出した洋楽に負けずに、いってらっしゃい!、と聞こえてくる。
ドアが閉まる音が妙に頭に響いた。
少しそれに違和感を覚え、僕はイヤホンを外して振り返る。
特におかしな所は無い。
僕は気を取り直し、歩きながらイヤホンを再び耳にはめようとして、違和感の正体に気づいた。
周りに、音が一切無い。
背中に冷たい汗が流れているのがわかる。
僕は言いようの無い恐怖を振り切る為、学校まで走ることにした。
目の前の落書きがしてある突き当たりを左に曲がれば、すぐに学校に着く。
僕は勢いそのままに左へ曲がる。
「………え…」
曲がった先は、さっきと全く同じ光景だった。
…少し寝ぼけてるんだ。
あの落書きのある突き当たりを左に曲がれば学校に…
また目の前に同じ落書き。
後ろを振り返り、家から一歩も離れられて無いことを知る。
…これは夢だ。
諦めて僕は家のドアを開けた。
目の前に同じ落書き。
無意識に頬をつねる。
痛い。
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