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こんな言葉を言いたい訳じゃない。
勢いで人を傷つける言葉を吐く。
一瞬あと。
ウッと息の詰まる
ひと呼吸置く間合い。
その間黙っていれば鎮まる心。
吐きだした言葉は心に刻まれて、二度と消えることはない。
過ぎ行く時の中、薄れていく記憶が、何かの折りにふっと現れる。
痛みとともに。
何度も味わう思い。
頭に血が上ったその時、昔の後悔も痛みも忘れ、暴言を吐く。
その一瞬あとに思い出す。
ママの言葉。
その人はどんな苦労があってその一言が言えたんだろう。
あたしが甘えん坊なだけで、今の40代もそう言えるんだろうか?
例えば今。
周りで誰かが何も考えず自分の気持ちだけで何気なく放った一言が人を傷つけた時、あたしは上手くその事を注意できるか?、
あの人より大人だと言えない。
それほどあたしは素敵な大人に囲まれていた。
当時は気付かなかったけれど。、あの頃、あたしの周りにいた人たちはあたしを対等に見てくれ、優しかった。
今は、自分の暴言と、その言葉を吐く原因の言葉は何かも思い出せない、
ただ、ママの、
「梅ちゃん、紙に書いた言葉は消せるのよ。でもね、口から出て耳から入った言葉は消せないの。心に残るのよ。気をつけなさい。」
この一言が。
後に引けないバカをやって後悔だらけの時。
ふっと涌いてくる。
いつになったらそんなバカをやらなくなるんだろう
あの時の大人達は、今もあたしの前を行っている。
いつまでもあたしは変われない馬鹿だ。
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