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「お前か……」
目の前に立ちはだかる女に向かって京は分かりきったように吐き捨てた。
「……貴方なら来てくれると信じていました」
殺気だった京の言葉に女は動じることなく、冷静に返した。
「何の真似だ?――こんなくだらない手紙を俺の靴箱に入れて……」
京は問う。女だろうとその殺気をとくことはしない。
「……貴方なら、わかってくれると思ったんですけど?」
「質問に答えろ。次はない」
京は女に向かって残酷な声で告げた。
「仕方ない……ですね。率直に言います。私は嘘が嫌いなので」
女は京の残酷な声に動じることなく、淡々と語りだした。
「私の名前は、その手紙で知ったと思いますが本城 希です。以後お見知りおきを――
その前に知ってると思いますけどね……
“敵”のリストに載っているらしいですから」
希はまるで他人事のような口調だった。
「――だから、その“敵”がなんの用だ?」
京の殺気だった口調も依然として変わらない。今にも一触即発と言った危ない雰囲気が漂っていた。
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