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長野が疑問に思った理由
それは一言で言うと勘に過ぎない
バスは独特の音をたてドアを閉める
そして少し震えて動き出す
まるで周りの景色が動いて自分達は動いていないかのようだ
バスの中はどうしてテンションが上がるのだろう
早速歌い出す人
行き先を当てる人
お菓子を食べ出す人
ケータイをする人
すでにバスは自由の時間と化していた
修学旅行と変わりない感じだ
乗車して5分ぐらいたったが未だにバスの中の熱は冷めないまま、よく知っている近所の道を走っていく
しばらくすると急に先生は立ち上がり
バスに置いていた赤いカゴを上に上げながら説明を始めた
カゴには大量、おそらくクラス全員分と思われる腕時計のようなのが入っていた
「これから移動するけど、みんなにはこの腕時計をつけていて欲しい。GPS付き、しかも頑丈だからはぐれても安心だぞ!なら前から回すから自分の分、取って付けてくれ」
前から回していき、みんななんの疑いも持たず付けていく
そう なんの疑いも持たず…
「よし全員つけたようだね」
前の方の席にいた長野には確かに見えていた
先生の不適な笑み…その笑みが何を意味しているのか…
長野は今の笑みを見て不安になり腕時計を外そうと努力する
しかし外れる様子はない
「な、なぁ本山…」
長野はすかさず隣に座っていた本山に声をかける
「ん?なに?」「こ、この腕時計外れないんだけど…」
「ん? 腕時計? そんなの気にしないで大富豪やろーよ!!…誰がジョーカー持ってるんだ~」
誰も気がついてないのだろうか…
周りを見渡してもまだ冷めることない熱気があった
気にしないのが一番だろう
長野は大富豪に参加した
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