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男子2人…。誰が罪を犯しても、裁きを受ける者は罪を犯した者とは限らないこのルール
もしかしたら…
もしかしたら自分に裁きがくだるかもしれない…
画面の右から文字が流れてくる
"男子2人、ランダムで選んだ結果 谷口と山崎を削除する"
――谷口と山崎
長野は一瞬、自分の名字を忘れかけた
が、我に帰って、一体どういう反応をすればいいのかわからなくなった
そこには安心した自分も確かにいた
「なんでなんだよ!!」
遠くから山崎の声が聞こえた
小さくうずくまり、拳を力限り地面に叩きつける
その拳からは、擦りきれた部分から血が流れていた
「なんで、なんで俺が……なんで、なんで、何も悪いことしてない俺が…ヒック…俺がいづ悪いごどを…グス……ッウ…」
血を洗い流すかのように涙がダムを崩壊したかのように頬を流れる
「くそぉ!!た……だにぐぢー!!」
山崎の叫びはむなしく青空に飲み込まれるばかりで、なすすべがない
かける言葉もない
「頑張れ」でもなくて「ごめんね」でもなくて…
言葉を脳という巨大な辞書から探すけど、見つからない
誰も何も言わないのは同じ理由からなんだろう
自分でも気がつかない間に長野の頬にも涙が静かに流れていた
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