ただ春の夜の夢の如し

2/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
ほほほ… その前にお茶をいれなおしましょうね。 もう冷めてしまいましたでしょう? もう春だというに今夜は随分冷え込みますわねぇ…さぁどうぞ。 義明様は今お幾つになられますの? まぁまぁお若いこと。 それでは義明様がお生れになるずっと前のお話になりますわねぇ。 今や貴族になりかわり、武士の世となりましたが、 昔はまだまだ貴族も権勢を奮い、またその雅びな姿に憧れる武士達が大勢おりました。 武士は神代から続く高貴な血筋を引く者は少ないですからねぇ… 腕っぷしばかりではどうにもならないものに恋い焦がれたのでしょう。 ほほ…まぁ、まぁ。 それは義明様くらいの世代になりますと、そんな気持ちは薄れて理解できますまい。 しかし、昔は違いましたのよ。 まさに平清盛様がそうでありましょうね。 お噂では天皇の御落胤だったため尚更…なんてお話も… ほほほ、まぁそれはまた別のお話ですわね。 何にせよそんな姿に周りの武士達は次第に平氏に愛想を尽かせていったのでございます。 義明様、源氏を束ね、幕府を打ち建てましたのは誰だかご存じ? ほほほ…えぇ、もちろん頼朝様ですわ。 では…その頼朝様が一番恐れられていらしたのはどなたかご存じかしら……?
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!