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パチパチとはじけるいろりの火を二人で眺めていると、先程の位牌を眺める表情の理由が気になってきた。 「しかし、失礼だがなにゆえこのような場所で一人で暮らしておられる。 いくら出家されたとはいえ余りにも不便であろうに…」 尼は位牌からいろりへとうつむくように目を移し、 「ふふふ、そんなたいそうな理由はありませんの。 ただ亡くなった方々を誰にも邪魔されずに弔いたかっただけですの。 もう長い間、手を合わせ、お経をあげ、それでも大切な方々にもう一度でいい、夢でもいいから会いたいと願うわたくしはどうやらまだまだ修業がたりないんでしょうねぇ。」 「そうか…その大切な方々というのが源氏ゆかりの者なのであろう? よければ聞かせていただけないか?」 「まぁ、こんな年寄りの話なんて長いばかりで埃をかぶったようなつまらない話でございますよ。」 「かまわないさ。 これも縁であろう?」 「確かにそうかもしれませんねぇ。 この山奥に庵を結んで以来人に会うことすら滅多にありませんの。 ましてや今までこの話をよその方にするなんてことも… 亡くなられた方々のお話を知っていただくのもまた供養かもしれませんねぇ。 それではこの婆が年老いてる分長くなりますが、 どうかお付き合いくださいませね。」
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