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国立クイ学園、高等部の生徒たちは、それぞれが、学舎との別れを惜しむように過ごしていた。
卒業後の進路が決まっている者もいれば、決まらず焦る者、また進路など気にせずのんびりとしている者、様々な生徒がいた。
しかし皆共通して感じているのは、3年の時を共にした学舎、寮、そしてペアの相手との別れの名残惜しさだ。
国立クイ学園は、国が人材育成の為に創設した学舎である。
入学と同時に二人組を組む決まりがあり、それは原則的に卒業まで離れることができない。
ペアの相手とは、寝食から訓練まで、全てを共にする。
相手の力が劣れば、自分も巻き添えをくう。
どの組も、大抵は互いに切磋琢磨し、泣き、笑い、悩み、3年を過ごしてきた。
「長かったような、短かったような」
寮の自室で、二段ベッドにもたれて座り呟く、相棒の声をルーウェンは聞いた。
黒髪を背中まで伸ばして、邪魔にならない程度にまとめている彼は、アサヒ。
「そうだね」
ルーウェンは机に向かっていた身体を、振り向けて答えた。
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