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季節は夏。蝉の鳴き声が、辺りに鳴り響く夏休み。
気温は35度以上と言う、そんな暑い外を。緑色のマフラーを首に巻いた1人の少年が、買い物袋を片手に歩く。
少年の名前は‐神秘 創魔〈カミヒ ソウマ〉‐
黒色の無造作に跳ねた髪型に、黒色の瞳のスッキリとした眼。
日差しが強いこの時期に、まったくと日に焼けていない白き肌。
誰が見ても美男子と言える彼は18歳。ゴクゴク普通の道路を歩き、我が家へと帰る途中。
今日は、創魔よりも3歳と年下の弟である恭也〈キョウヤ〉が、欲しがっていたゲームの発売日。
そんな日に限って、その弟さんは風邪を拗らし、家で寝ている。
そんな弟の為にと、代わりにゲームを買って来た創魔は――隠れた軽いブラコンであった。
今、首に巻いているマフラーも。数年前に恭也が、創魔の誕生日に買ってくれた物。
殆どの時間、肌身離さず纏う。
名前は痛々しく、美男子だが。
優しい心を持つ少年である創魔も、興味を持つモノが有った。
それは、ファンタジーな世界。
魔法、超能力、陰陽師と。いろんなファンタジーの小説や漫画を見て来た少年。
特に興味を注がれるのは、魔法と超能力だ。
今も、歩く道で人とすれ違う度に。
「よっ! 超能力者」
と、心の中だけで話し掛けている。
そうする事で、もし、すれ違った人がエスパー人間だった場合。少しでも驚くと考えたのだ。
エスパー人間が存在すればの話だが。
こんな少年だけど、“美男子”だ。
それなのに、彼女ない歴=年齢である。
目が合った女子は全て、顔を紅く染め上げ、顔を逸してしまうのが原因。
創魔はそれを、不細工面である自分と目が合い、怒って逸らされたと勘違いしていた。
言ってしまえば、鈍感なのだ。
「恭也の奴、喜んでくれるかな?」
そんな、女子と無縁な彼の癒しは。チビで童顔で優しい弟の恭也のみ。
手にぶら下げる袋を眺め、微笑んでいた創魔は。突然と、頭の左側に襲いかってきた痛みにより――
――意識が途切れた。
‥‥‥
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