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「此所は……何処だ?」
眼を開いた創魔の視界に映りだす、白。……否、純白と言っても良い程に真っ白。
床や壁に天井の堺が分からないその空間で――そもそも、床が存在するのかも疑わしい場所で彼は眼を覚ました。
『此所は、世界の狭間だ』
黒髪の彼しか居ない白に、彼以外から発せられし声が届く。
創魔は、低く威厳を感じさせるソレに驚き、周囲を眺め直した。
360度と不審に辺りを見渡す1人に気が付いたのか。彼の目の前に黄色く、それでいて優しく光り輝く光りの因子が集結し形を形成。
「我は神様だ」
形成した光りは色を変え、薄茶の髪をショートカットに黒い瞳のオジサン。
年齢は40歳を過ぎたであろう見た目の、筋肉が付き逞しい肉体で、身長は180cmを越す男性になった。
「何が、どうなって……」
光からオジサンにジョブチェンジした目の前の存在を眺め、不思議そうに頭を傾げた創魔が呟く。
「余り、驚いてはいないらしいな」
「え? ……ああ。俺は超能力とか魔法を信じていたからな。何時、何が起きても理解し、納得するだけさ」
腕を組み感心したよう聞いてきた神様に、創魔は当たり前のように答える。
「それで……神様だっけ?
何故に俺が、こんな所に居る訳?」
最終的には苦笑を浮かべ、左頬を左手の人指し指で掻き訪ねる人間。
慌てたり、驚いたり、恐怖する事なく。落ち着いた態度を見せる創魔に、神様は溜め息を漏らした。
「本当に驚かないのだな。
お前が此所に居る理由だったか。……我の不手際で、君が死んでしまったからだよ」
――ふざけた様子は無い。
申し訳ない表情を顔一面に映し。これまた申し訳なさそうな声色で、理由を伝えてきた神様。
その内容には、流石の創魔も面を食らってしまう。
唖然とし、身動きが止まった黒髪。
茶髪はそれを見ていられなく「ちょっと、階段から滑って――」と、死んだ理由を口にした時だった。
ヨッシャァァアっと喜びに満ちた声が、純白の空間に響き渡ったったのは。
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