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此所は、とある国に建てられし極々普通の病院。
中では新たに1つの命が誕生し、子を産み疲労しているであろう母親が、小さきソレを抱えている。
静かながらも幸せが垂れ流れている空間に、突然と騒がしい音と声が響いた。
「大丈夫か!? チェリー!!」
部屋の扉を豪快に開き、中へ入って来たのは1人の男性。
彼は、先程の母親となった存在の夫。
赤ん坊が産まれるまでは部屋の前で待機しており、心配や不安に期待等の感情が一杯で、待って居たのがキツかったのだろう。
何もしていなかった彼の表情が、それを物語っていた程だ。
周りに居た看護士が五月蠅い夫に注意も漏らす。
「そんなに慌てずとも、私も赤ちゃんも元気ですよ。イージスさん」
妻であるチェリーは、疲労やイージスの行動に苦笑を浮かべて答える。
腕に抱える自分達の子供も見せる様に。
「あぁ! よく頑張ってくれたなチェ……いや。これからお前は母親となるので、ハニーと呼ぼう!!」
「あらあら。なら私は、貴方の事をダーリンと呼ばせて貰います。
それよりもダーリン。この子の名前は決まっているので?」
バが付く程のカップル夫婦に、周りの者達は直視出来ないでいた。
見てるコチラが恥ずかしい、と言った理由だが。
そんな事にも気が付いていない2人は、御構い無く話しを続ける。
「もう決めてある。この子の名はヴァン。
――ヴァン=アスリードだ」
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