18人が本棚に入れています
本棚に追加
その一部始終を見ている間に、わたしたち以外の観客はほとんどアンケートを書き終わり、教室を出てしまっていた。千早も、あと少しで書き終わるようだ。
「彩~書けた~?」
アンケート用紙を折りたたみながら、千早が聞く。
「わ~ごめん!ちょ、ちょっと待って!」
わたしは慌てて鉛筆を走らせる。
その時、うしろから声をかけられた。
「すみませーん、片付けたいんで一旦、外に出てもらえますかー。」
ガタガタと椅子を片していく男の子。
「あ、はーい。ほら、行こ、彩!」
千早がわたしの腕を引く。わたしはすぐに立ち上がれない。
ガタッ
急に男の子が抱えていた椅子が床に落ちる。な…なに?わたしは音の方を振り返る。
「…みつけた!」
男の子が目を見開いて千早を見ていた。千早はきょとんとした顔。
「君!ピッタリだよ!うん!ピッタリだ!最っ高だよ!」
興奮気味に男の子がまくしたてる…が、何が言いたいのかさっぱりわかんない。引き気味の千早、とわたし。
そして、突然、ガシッと千早の腕を掴むと、つかつかと教室の外に連れ出していく。取り残されたわたしも急いで追いかける。
最初のコメントを投稿しよう!