デッサン

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 新入生歓迎会から数日が過ぎ、わたしはまだどこの部に入るか決められないでいた。千早といえば、演劇部での一件のあと、怒った勢いにまかせてか、そのままバスケ部への入部を決めてしまった。 「彩~。あんた結局、帰宅部にするの?」 放課後、声をかけてきた千早の肩にはスポーツバッグが提げられている。 「いやー、まぁ…まだ悩み中かな。千早、これから部活?」 「うん!まだ、基礎練と雑用ばっかだけどね~。」 「そっか~。頑張ってね!」 「サンキュ!」  千早は、笑顔で手をふりながら教室を出ていく。手をふって見送ると、わたしは小さくため息をついた。  どうしよっかな… 色々考えてみても、やりたいことなんて、そんなにたくさん思い浮かばない。 「少なくとも、好きって気持ちは大事じゃない?」 ふと、あの時のピエロの言葉を思い出す。  好きなこと…か わたしは、こそこそと鞄の中からスケッチブックを取り出した。パラパラとめくり、数日前にデッサンをしたページを開く。モノクロのピエロ。鉛筆で細かく描かれたその背景には、色とりどりの模様…っていっても絵の具をただ無作為に塗りたくっているだけのもの。 あの劇を観た晩、わたしはなかなか眠れなくて、この絵を描いたんだ。  でっかいの、描きたいなあ…
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