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「こ…んにち…は。」
ああ、駄目だ。緊張する…なんでこの人たち、こんなに距離が近いの!彼は、ずいっとさらに顔を近づけてくる。
「なっなんですか?千早なら、、友達、なら体育館ですよ!」
「千早?ダレ、ソレ?」
彼はきょとんとした顔で聞く。わたしは、さらにひるんでしまう。
「誰って…、あなたたちがヒロインにしたいって言ってた…」
「あー!あの子ね。それなら、アナタタチ、じゃないでしょー。あいつだけだよ、永太郎くんだけ。」
「じゃあ…何の用なんですか?」
彼は再びにっこり笑って、両手をわたしの肩に置いた。わたしは、自分の体がビクンとなるのがわかる。
「ボクは、君に話があるの。」
…は?
今度はわたしがきょとんとしてしまう。
「と、言うわけで、ここじゃなんだし、行きましょーか。」
固まったわたしの体は、そのままくるりと向きを変えられ、教室の外へと押し出される。
「な、、どこに…?!」
我に返り抵抗するもむなしく、わたしはそのまま演劇部の部室へと連れていかれてしまった。
「さーて、と、まず名前から聞こっかな。俺は松宮哲ね。哲学の哲でサトル。」
放課後なのに、演劇部の部室には誰もいない。そこには、会議室のように長い机と椅子がいくつか置かれていた。わたしはその端に座らされ、松宮哲と向い合う。まるで面接みたいだ。
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