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「ついてきてって…」
わたしは、千早の背中を見つめ、頭を抱える。そして、授業の間中、ひたすら”演劇部の部長”があの人じゃないことだけを祈り続けていた。
昼休み、千早とわたしは演劇部の部室前に立っていた。
「ねぇ、わたし、行かなきゃだめ?」
お昼を食べている時から、わたしは何度も同じ質問を千早にしていた。千早曰く、
「だーめ。相手は二人だよ!こっちが一人じゃ、フェアじゃない!」
だそうだ。…そういうもん?
「失礼します!」
千早が、部室のドアを開ける。その後ろから、わたしは恐る恐る中を覗いた。
「お、来た!」
そう言って立ち上がったのは、熱烈スカウトマン堺 栄太郎。そしてその隣にいたのは…
「あなた、昨日の…」
演劇部の女神!彼女は驚いた顔でわたしを見つめている。
「あ…ど、どうも…」
思わず慌てたけれど、ひとまずわたしは安心した。…良かった。部長は、彼女なんだ…。
「あれ?美咲さん、知ってるんですか?」
堺が、女神とわたしの顔を不思議そうに見る。
「うん、昨日…」
女神が、堺の質問に答えようとした、その時…
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