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付き合ってみると、予想外、千早はわりと苦労していた。
帰国子女ならでは、英語は堪能だけど日本語にちょっと弱い。辞書と小学生の漢字ドリルをいつも持ち歩いていた。
生まれつきの茶髪も、生活指導の先生に捕まったり、怖いお姉様方に呼び出しをくったり。
最初の頃は、クラスでも浮いてしまってなかなか友達もできなかったこと。下手すると、目立つのを理由にイジメ紛いの目にもあっていたこと。そんなことを、彼女はわたしに、笑い話のように聞かせてくれた。
「だから、まーた高校でイチからやり直すかと思うとぞっとしちゃって。
そしたら、隣のクラスに同じ高校に行く子がいるって言うじゃない!
こりゃあもう味方にしとかなきゃ!って思ってさ。」
そう言って、千早は白い歯をみせて笑った。
その笑顔には容姿でも育ちでもない、内面から滲み出る可愛らしさが詰まっていて、同性のわたしですらときめいてしまうほどだった。
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