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「このあとどうする?どっかみたいとこある?」
わたしは、チラシの束の中から、校内の案内図を探し出し広げる。
「講堂でもいく?それか、も一回体育館か…」
…ズズッ…
千早は、音をたてコーヒーをのみきるとパックをくしゃりと潰した。
「…ウサギ…」
「え?」
千早の言葉に、わたしは顔をあげる。千早は目の前の階段を見上げている。
「…ウサギ?」
千早の視線を追ってみる。階段の一番上…
ウサギだ…
そこには、色あせたピンクのウサギ…の着ぐるみが立っていた。仁王立ちでじっとわたしたちを見つめるウサギ。ちょっと怖い…。わたしたちも何だか動けない。
すると突然、ウサギが二、三歩あとずさりする。次の瞬間、ウサギは助走をつけて一気に宙に跳ねあがった。
スタンッ
ウサギは、わたしたちのいる踊り場に見事に着地した。一瞬の出来事にわたしたちは唖然とする。
「…ふふっ」
千早は思わず吹出し、両手で口を抑える。けどすぐに諦めて、爆笑しはじめた。
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