No.01

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「ジャンヌ、」 なあに、と少女は笑う。 金糸がふわりと揺れた。 「約束しよう」 少年はジャンヌに小指を差し出した。子ども独特の、柔らかな肉感のふっくらした小さな指。 ジャンヌは微かに訝りながら、自らの小指をそれに絡める。 「ねぇ、ルネ。どういうこと?」 ジャンヌの問いかけにルネはくすくすと笑う。 甘ったるい、柔かい声だった。 「僕ってさ、神様の声が見えちゃうからさ」 なんて、にやりと笑った。 どうしてそれが、嘘じゃないなんて見破れただろうね。 後に、彼女は本物の神の声を聞く。そうすれば、アカシック・レコードも垣間見るに違いない。 ルネは楽しげにもう一度笑った。 「ルネって、いつもそれだね?」 ジャンヌもつられるように頬を緩ませて空を仰いだ。 ねぇ、なんて。 野暮に声なんかかけない。 「もし、神様なんかが居たとして!」 「僕とジャンヌは結婚出来ますか?」 「違うよ」 「即答しなくっても良いじゃないか」 ジャンヌの素早い返答に唇を尖らせて拗ねるふりをして、ルネも青空を仰いだ。 アカシック図書館はまだ、開かない。 「ごめんごめん。わたしとルネがいつまで居られるか」 「ジャンヌってさ、毎度同じことしか言わないね」 例えば、例えば。 なんて笑うんだ。だって君は自分のレコードすら読めない。
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